コレクションアイテムとして根強い人気がある金貨は、資産価値が高いことでも知られています。
なかでも地金を使った金貨や発行枚数が少ない金貨は希少価値が高く、高値で取引されることもあります。

そこでこの記事では、金貨の概要と資産価値、日本国内・海外で発行された金貨についてご紹介します。金貨を使った資産形成をお考えの方は、ぜひご参考にしてください。

価値が高い「金貨」とは？

金貨とは、その名前の通り金でできた貨幣のことです。金は希少価値が高く製造にコストがかかるため偽造されにくく、通常の使用範囲内では変質・変色もしづらいという特徴があります。そのため、世界中で貨幣の材料として用いられています。
一般的に、純金に銀や銅などの合金を加えて作られていますが、使用している金の割合が高いため、価値が高いのが特徴です。

金貨の種類としては、「地金型金貨」と「収集型金貨」の2種類に分かれています。

地金型金貨

地金型金貨とは、資産保全用として発行されている金貨のことです。金そのものの価格に加工費などをプラスした金額で販売されています。
そんな地金型金貨は、額面より金そのものの価値のほうが高く設定されているのが特徴です。金の価値によって価格が変動するため、金相場が低くなっているときに購入して、金相場が高くなったときに現金化することで、資産形成に用いることができます。一般的な通貨としても利用することが可能です。

収集型金貨

収集型金貨とは、発行枚数が少なくコレクション要素の強い金貨のことです。オリンピックなどの行事を記念して発売されることが多いため、コレクション性が高くプレミア価格がつきやすい金貨となっています。
そんな収集型金貨は、金地金の価格を超える固定価格で発売されることが多く、取引価格は需要によって決まります。コレクションとして集めながら資産形成のために所有する方もいるようです。

なお、金貨を購入するメリットや注意点については、以下の記事で詳しくご紹介しています。併せてご確認ください。

金貨を購入するメリットとは？注意点も併せてご紹介

金貨の資産価値

金貨はコレクションアイテムとしてだけでなく、資産としても価値があります。
しかし、金貨の相場は日々変動する金相場に影響されるため、一概に金額を割り出すのは難しい傾向にあります。資産形成のために金貨の現金化を考えている場合は、その日の金相場をチェックするようにしましょう。

8月25日現在、金地金の店頭小売価格は1g9,948円。店頭買取価格は1g9,833となっています。

さらに、収集型金貨の場合、金そのものの価値にコレクション性などを加味したプレミア価格が上乗せされた価格で取引されることがあるため、より資産価値を割り出すのは難しいといえるでしょう。

なお、「金の価値は下がらない」といわれている理由については、以下の記事で詳しくご紹介しています。併せてご確認ください。

金の価値は下がらないといわれている理由とは？金の価値が動くタイミングを知ろう

価値はどれくらい？日本で発行された金貨

では、実際に日本国内ではどのような金貨が発行されてきたのでしょうか？

旧20円金貨

旧20円金貨は、明治時代初期に発行されました。表には龍、裏には菊花の紋章と日章、錦の御旗のデザインが施されています。
発行枚数は約5万枚と非常に少なく、市場価値が高くなっています。

新20円金貨

新20円金貨は、明治時代後期から昭和にかけて発行されました。表には菊の御紋、裏には菊と桐の葉のデザインが施されています。
発行枚数は約5千枚となっていて、発行枚数が少ない年のものほど希少価値が高く高値で取引されています。

天皇陛下御即位記念10万円金貨

天皇陛下御即位記念10万円金貨は、1990年に第125代天皇の御即位を記念して発行されました。純金の金貨になっていて、表には瑞雲と鳳凰、裏には菊花紋章と唐草、桐のデザインが施されています。
発行枚数は20万枚と少ないため希少価値が高く、プレミア価格で取引されています。

皇太子殿下御成婚記念5万円金貨

皇太子殿下御成婚記念金貨5万円金貨は、1993年に第125代天皇の御成婚を記念して発行されました。表には瑞鳥の鶴と波、裏には菊花紋章と梓のデザインが施されています。日本国内では取引が多い収集型金貨です。

東日本大震災復興事業記念1万円金貨

東日本大震災復興事業記念1万円金貨は、2015年に東日本大震災の復興費を賄うために発行されました。第1次〜第4次まで発行され、それぞれ表面のデザインは異なります。なかでも、学校と鯉のぼりのデザインが施されている第2次発行の金貨は、人気が高くなっているようです。

長野五輪冬季大会記念1万円金貨

長野五輪冬季大会記念1万円金貨は、1998年に長野で開催された冬期オリンピックを記念して発行されました。第1次〜第3次まで発行されていますがそれぞれ表のデザインが異なり、裏には共通して長野県花のりんどうのデザインが施されています。

2002FIFAワールドカップ記念1万円金貨

2002FIFAワールドカップ記念1万円金貨は、その名前の通り2002年に開催されたサッカーFIFAワールドカップを記念して発行されました。表にはサッカー選手、裏にはFIFAのエンブレムとサッカーボール、虹、桜のデザインが施されています。

日本国際博覧会記念1万円金貨

日本国際博覧会記念1万円金貨は、2005年の愛知万博を記念して発行されました。純金製の金貨になっていて、表には愛知万博のロゴである「愛・地球博」と地球、月、太陽、愛知県の県鳥コノハズク、裏には博覧会のシンボルマークと大地をイメージしたラインのデザインが描かれています。

価値はどれくらい？海外で発行された金貨

では、海外で発行された金貨にはどのようなものがあるのでしょうか？

ウィーン金貨ハーモニー

ウィーン金貨ハーモニーは、1989年にオーストリア造幣局が発行した地金型金貨で、法定通貨として扱われています。純度は99.99％で24金に該当し、表にはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会場にあるパイプオルガン、裏にはウィンナホルン・ビオラ・ハープ・ファゴット・バイオリン、チェロなどの管弦楽器のデザインが描かれています。

メイプルリーフ金貨

メイプルリーフ金貨は、1979年にカナダ王室造幣局が発行した地金型金貨です。純度99.99％で24金に該当します。流通量が多いことから世界的に信用度が高く、資産形成のために所有している方も多いようです。表にはエリザベス2世、裏にはカナダの国旗にも描かれているカエデの葉（メイプルリーフ）のデザインが描かれています。

イーグル金貨

イーグル金貨は、1986年にアメリカ合衆国が発行した地金型金貨です。純度は91.67％で22金に該当します。表にはアメリカの象徴となっている自由の女神、裏にはアメリカの国鳥である鷹（イーグル）のデザインが描かれています。

クルーガーランド金貨

クルーガーランド金貨は、1967年に南アフリカ共和国が発行した地金型金貨です。純度91.67％で22金に該当します。表にはトランスヴァール共和国の元大統領であるポール・クルーガーの肖像、裏にはシカによく似ているスプリングボックという動物のデザインが描かれています。以前は日本でも流通していましたが、近年は流通量が少なくなっている傾向にあります。

ブリタニア金貨

ブリタニア金貨は、1987年にイギリスが発行した地金型金貨です。純度は91.67％で22金に該当します。表にはエリザベス女王2世、裏にはイギリスを擬人化したブリタニア女神のデザインが描かれています。

バッファロー金貨

バッファロー金貨は、2006年にアメリカ合衆国が発行した地金型金貨です。純度99.99％の純金を用いた24金の金貨です。表にはアメリカの先住民インディアン、裏にはアメリカバイソン（バッファロー）のデザインが描かれています。

パンダ金貨

パンダ金貨は、1982年に中国造幣公司（中華人民共和国）が発行した地金型金貨です。純度は99.9％で24金に該当します。表にはジャイアントパンダ、裏には北京天壇のデザインが描かれています。表のジャイアントパンダは毎年デザインが変更されていることもあり、コレクションとして所有している方も多い傾向にあります。

ソブリン金貨

ソブリン金貨は、1817年から現代に至るまでイギリスで発行されている収集型金貨です。純度は91.67％で22金に該当します。表にはエリザベス女王2世、裏には龍を退治するといわれているゲオルギオスのデザインが描かれています。最後に発行された金貨でもすでに200年以上もの歴史があり、状態がよければ高値で取引されることもあるようです。

ナポレオン金貨

ナポレオン金貨は、1852年〜1970年にフランスで発行された収集型金貨です。純度90.00％で21.6金に該当するため、ほかの金貨と比較すると純度はやや低い傾向にありますが、希少性が高くプレミア価格がつくこともあります。一般的にナポレオン3世のデザインが描かれた20フラン金貨をナポレオン金貨と呼んでいます。

キャット金貨

キャット金貨は、1988年〜2012年にイギリスのマン島で発行された収集型金貨です。純度は99.99％で24金に該当します。表にはエリザベス女王2世、裏にはマン島が発祥とされているマンクスという猫のデザインが描かれています。

価値の高い金貨は資産としても人気

一口に金貨といっても、資産保全用として発行されている地金型金貨とコレクション要素の強い収集型金貨の2種類に分かれています。どれも金の純度が高いため価値は高い傾向にありますが、金貨の種類によってはプレミア価格がつくこともあるようです。資産形成をお考えながら、金貨を用いるのも一案です。

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